津波で死なない唯一の方法--とにかく「逃げろ!」

震災後、twitterや地震学会MLに寄せられる一般のかたがたの意見の中に、
「気象庁が発表するマグニチュードをどんどん変えたことが失敗だった」とか
「気象庁の情報操作で被害を大きくした」とか、
結構社会的地位の高そうなかたがたからそういう意見が出た。

「最初からM9.0と言われていれば逃げたものを、当初のM7.9とかいうのでは
私のように少々学のある人間は油断してしまう結果となった。」

というように、妙にそのかた自身のリテラシーを過大評価されている人もいた。

だが、よく考えてほしい。今回の地震のマグニチュードが9.0と発表できたのは、
それなりに遠い観測点(たとえばオーストラリア)などで観測されたデータが
手に入ったからだ。その距離を大雑把に1万km(地球4分の1周分)と仮定して
そこに主要動であるS波が到達するのにどれだけの時間がかかったか。

それはおおよそ20分~30分である。
つまり、おおよそ30分かけてやっと正確なマグニチュードが得られたのだ。
震源近傍の即座に得られるデータと違い、30分も待ってからM9.0だと分かったとして、
それがどう減災に繋がると言うのか?
その時間が来た時には手遅れ。
とっくに津波に流されてしまっているのである。

そして一番大きいことは、気象庁発表が正確だろうと不正確だろうと、
震災で停電になってしまった地区でそんな情報を手に入れる事はできない。
情報の全くないとか、情報を理解する学力が無いとしてでも、
命を守る手段が一つだけある。それは

「揺れたらすぐ逃げる!」

ということである。テレビやラジオがどう言おうと構わない。
とにかく、揺れたらすぐ逃げることなのである。

奥尻島を襲った北海道南西沖地震は私が大学院で
修士論文研究をしていた時に起きた震災であったが、
これなど、地震発生から「2分」で津波に襲われた。
即座に逃げた人でも間に合わなかった人がいるくらい、
それは間一髪のことなのである。

そんなことを地道に啓蒙活動した人がいたおかげで、
岩手県釜石市では小中学生の生存率99.8%という
高い成果が見られたのだった。だが、その啓蒙活動に
当初から地元の好意的対応があったわけではない。
どういう形で釜石市のような奇跡的結果が得られたのか。
それを記事に書いたブログがある。

小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない(WEDGE 片田敏孝)

これを読めば、生き延びるために必要なことが
決して正確な震源情報の報道ではなく、
津波というものの恐ろしさに関する正しい教育
(揺れたらすぐ逃げる)
であることを理解できると思う。

どうかこの釜石の教訓を世の中に広げてほしい。
津波てんでんこ―近代日本の津波史
新日本出版社
山下 文男

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この記事へのコメント

ゆき
2011年04月26日 22:22
途中であきた
ポー
2011年04月27日 00:27
思うことはたくさんあります。
「津波てんでんこ」の本がこちらで紹介されてますが、これは今私が一番好きな言葉でもあります。
三陸に伝わる、津波が来たら親兄弟でもかまわずてんで(ばらんばら)に逃げろ。(そうすれば一家全滅は回避できる)
それだけ緊急かつ重大なこということですね。

ところが同じ三陸に住んでいながら全員が自覚しているわけではない。
あるいは他の地域の人に啓蒙してもらわってやっと重大さがわかった者もいる。
ポー
2011年04月27日 00:33
私ごとではありますが、防災について心がけていることとして
「海の近くには住まない」「土砂崩れの可能性のあるところには住まない」
「原発の近くには住まない」etc.
また、住まないだけでなく近づくことは最小限にとどめる。

今回はこれが功を奏して私自身の被害はゼロです。
原発だけは今後どうなるかまだわかりませんが。
ポー
2011年04月27日 00:46
思うこととして、三陸の多くの人たちは、津波の可能性の低い地域を選んで住んでいる私より、津波に対する防災意識は低かったのかなと。

以前でも津波警報が出ても避難しない人もいれば、
避難しても、第一波の後に、まだ解除されていないのに家に帰る人。

TVでは第二波のほうが高くなることがあるので解除されるまでは避難所にいるようにといっているのに。
ちゃんと考えて津波の危険性の低い所を選んで住んでいる私は、これを大変意味のあることとして肝に銘じているのに、
津波で死ぬ可能性のある人たちは理解しようともしていないのはバカじゃねーかと本心思ってました。

そして今回、
同じように小さい第一波の後に家に物を取りに帰った人は結構多かったようです。
そして、すべて当然の結果になってしまったようです。
ポー
2011年04月27日 00:50
逆に言えば、津波に対する危機意識が低いからこそ、あのような地域に住んでいられるのかな、などと思ってしまいました。

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