「富士山で人工地震」というデマについて。

富士山を囲む正方形の「震源」。人工地震の明確な証拠です。」について
実に初歩的数学知識もないデマ記事である。

この大変な災害時にこんなデマを繰り返しtwitterに流した人たちは
「算数」及び「数学」の基本的知識もないものと思われる。

まず、普段私たちが使っている「メートル法」の起源を考えよう。
そもそも「1m」という単位は、
「地球を球体と仮定し、その一周を4万kmとする」
というところから始まったものである。つまり、単純計算で
赤道から北極まで地上を歩けば1万kmである。

そして、今回のこのデマ記事、良く見てほしい。緯度経度がどちらも
小数点以下1桁までしか表示されていない。すなわち、これは
小数点第1位までに丸めて発表される「速報値」を利用しているのである。

気象庁からは震源情報として「速報値」、「暫定値」、「確定値」の3種類発表される。

1)速報値はまさに瞬時に出されるもので、緯度経度は小数点第1位まで。深さも10km単位。

2)暫定値は前日に発生した地震の詳しい情報をかなり細かい緯度経度・深さで翌日発表される。

3)確定値は暫定値を更に精査・検証して、毎月の「気象庁地震・火山月報」に掲載される。

というものである。

速報値は災害対策として緊急に必要とされるものに過ぎず、学術的に意味のある値ではない。

学術的に意味があるのは暫定値で、厄介なことに、気象庁はこれを特定のドメイン
(「go.jp」「ac.jp」など研究者のいる組織)には電子データとして配布するものの、
一般人への同様の提供を未だに拒み続けている。
(私、小野田はかねてよりこの閉鎖性を批判して一般ドメインに公開するよう主張している。)

確定値はあまりにも発生から時間が経過しすぎていて学術的にはあまり利用されていない。

以上を勘案してこのデマ記事を読んでみよう。この「正方形」と連呼されているのは、
ただ単純に緯度経度を小数点第1位で区切った格子状の1ブロックを抜き出した速報値である。
本当はその格子間のどこかで発生していても、数値がこの格子のどれかに必ず四捨五入され
発表されているのである。2つの格子に出てくる地震の本当の発生場所は小数点第1位として
最大0.2の誤差があり得る。

そしてメートル法と分度器をもう一度考えよう。赤道を緯0°として北極の緯度90°まで
単純に球体として1万kmあるのだから、緯度0.1はその900分の1である(約11.1km)。
更に経度に至っては、緯度0°で球体ならば一周4万kmあるが
緯度90°では0kmである。経度0.1刻みの長さは緯度ごとに異なり、
富士山の緯度(およそ北緯35.3°あたり)での緯度0.1°あたりの距離は
1万km÷900×cos35.3°(約9.1km)である。

だからそもそも「正方形」などと叫んでいること自体がおかしいし
(簡単に言って「長方形」だし、少し厳密にいえば「台形」だし)、
速報値の誤差は緯度方向で最大22.2km、経度方向で18.2kmもあるのだ。
富士山の近傍の僅かな違いがこの4つの点に全て四捨五入されたに過ぎない。

そんな単純な算数、数学は、高校全入のこの現代日本でなら、
高校1年生で習うレベルのものだ。
こんなあからさまなデマにさえ惑わされる人たちがこれほどいるのが情けない。

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この記事へのコメント

グランダディ
2011年03月19日 10:09
もちろんデマだと思っていますが、誤差の大きなデータに基づいているからといって、正方形であったかもしれないことを否定することはできないですね、正方形だったしてそれがどうしたってことはまた別の話ですが・・・

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