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zoom RSS 青木るえか氏のドラマ批評に見られる落とし穴

<<   作成日時 : 2013/05/22 01:11   >>

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天涯孤独な私のように生きるために賃労働に時間を取られ、
障害を抱えるが故に行動にも一定の制約があり、
しかも裁判を抱える日々が何年間も続いているような人間は、
到底全ての興味あることに通じることは出来ない。

世の中の出版社やウェブサイトへ記事を定期的に投稿して
原稿料を稼ぐ人たちが当然私より沢山の文献や作品に目を通し、
それらの批評を書くだけの考察をする裏付けを沢山持っていることは
私は否定しない。

「しかし!」だ。

朝日新聞デジタルや週刊朝日などの書評やドラマ批評に
出ずっぱりの青木るえか氏の作品批評には目を覆うばかりの
偏見と勘違いが満ちあふれているように感ずるものが多い。

彼女が去る3月まで放映されていたNHK連続テレビ小説『純と愛』に
激しい批判をしてきたことは元々知っていたし、それはそれで
彼女の感想なのだとある意味受け流してきた。

その一方、私がこの作品を絶賛していることは、
このブログ内の他の記事に書いてある通り、数少ない読者ならご存じと思う。
Wikipediaの『純と愛』の書き込みにも私はかなり参加していた。

で、今回、どうしても納得出来ない彼女の「傲り」というものについて
一言言わずにはおけなくなった。その記事とは

不思議なぐらいイヤな感じがない朝ドラ『あまちゃん』(青木るえか)
http://astand.asahi.com/magazine/wrculture/2013051000008.html?iref=webronza

という記事中の
「そりゃそうだろうな。『純と愛』がアレでしたもん。アチラも有名脚本家で、
こちらもある意味有名脚本家で、アチラもこちらも、自分のフィールド
(と思われる)に強引に作品をひきつけて書いてるけど、
アチラはあの有様で、こちらは「わー『あまちゃん』おもしろいー!」ってことになっていて、
勝負はついた。」
という部分である。

はて、いつから連ドラは勝負事になったのだ?
勝負してるとしたら何を争う勝負なのだ?

同じ時間枠で割に固定層の強い番組において、
固定観念でとらわれた人間がまず気にするのは視聴率であるのは
テレビばっかり観続けている人たちの常である。
確かに視聴率の高さで比べたら、明らかに『純と愛』は低かった。
しかし、目を覆うほど低くは無かった。
明らかにコアな支持層がドラマを通じて心救われたとの
感想文をNHKに寄せいていることが報告されている。

ドラマなるもの、内容によって人々の好き嫌いは必ずあるものだ。
広く多くの人にウケようと狙えば、常套手段を使って過去のデータで裏付けられた
お馴染みのやり方によってそこそこの視聴率を稼ぐことができる。
しかし、それでマンネリになって潰れてしまった『水戸黄門』など悲惨な末路も有名な話だ。

「ドラマを創る側」のサイドに立ってこのいっときにどんな作品を世に問うか。
これは演出家や制作スタッフの一回きりの大勝負である。
その勝負とは

「自分たちの狙ったことが最後までやりきれたかどうか」

である。

もしそれが「高い視聴率を取ること」だったのなら勝負は視聴率で決まる。
しかし、オフィシャルHPやNHK出版のこの番組専門の特集号での
遊川氏や制作スタッフのインタビューで明かされている通り、
遊川和彦氏も制作スタッフも視聴率度外視でやりたいことがあった。

「最近のドラマは視聴者のご機嫌をうかがうようなものが多い気がします。
(中略)
人から何と言われてもいいから、僕は人の心に残るものを作りたい。
胸をチクチク突き刺すような落ち着かな感情のようなものでもいいから、
何かが残るもの、何かを考えさせられるものを視聴者の心に残したいと
思っています」

(この部分、『NHKステラ 臨時増刊4月30日号』より遊川氏)

「破るべき壁は、上層部でもなく、世間の評価でもなく、
僕ら制作者の内側にあって、それを遊川さんの一言が
粉々に砕いたのだった。」

(この部分、『NHKドラマガイド 連続テレビ小説 純と愛 Part2』にて
プロデューサー大久保篤氏)

そう、脚本家も制作スタッフも視聴率度外視、大ブーイング覚悟で
一致結束してこのドラマを創っていたのだ。

そしてご存じの通り、ドラマは大ブーイングの嵐の中でありながら、
一定数のコアなファンの心を掴む作品となった。

遊川さんは語る。
「このドラマを見て『こんなことはありえない』
『母親が娘にあんなことを言うはずがない』
という人には、人生でつらい経験をしたことのない人が
多いような気がします。逆に愛する人を失ったり、
自分では立ち行かない状況に陥った経験のある人たちには
『わかるよ』 『あのセリフが胸に響いた』
と言ってもらえました。」

この遊川さんの言葉、私も大きく頷くところです。

私自身、家庭内暴力の吹き荒れる荒んだ家に育ち、
家出や自殺(未遂)、登校拒否などに苦しみ、
家族や教官から祝福されない重い病の女性と結婚し、
その女性の病状悪化と5年間闘った末、
理解の無い親たちの強引な介入で
互いにまだ愛し合いながら離婚を強いられた。
彼女の病が故に家を追われホームレスになった。
理不尽な市役所職員による「水際作戦」で
本来受けられるはずだった生活保護を違法に奪われ、
せっかく技能を活かして働いていた仕事を失うことになった。
それから15年以上、社会の底辺で氷河期を必死に生き抜いてきた。
無理な生活でついに健康を害し、自らも精神障害者に陥った。
この障害に無理解な勤め先によって不当に解雇された。
しかし、かろうじて友人の支えや励まし、
主治医とケースワーカーからの支援などで
かろうじてまだ生きている。

だから、『純と愛』を見ていると、
「遊川さん、まるで私の人生をどこかで見ていたのか?」
と心が叫ぶ場面があちこちに出てくるのであった。

そして私自身、大学で劇団活動していたので、
役者目線としてもドラマや映画、舞台を見てしまう。
今回、純を演じた夏菜さんはかなり精神的に追い詰められた作品だったと
語っているけれど、それほどまでに至高な演技を求められたからこそ、
あれだけのジェットコースターのようなストーリー展開の作品は
コアなファン層の心を掴んだのだと思う。

元役者である私から見れば、夏菜さんはこの役を演じきったことを
絶対誇りに思ってこれからも活躍してほしいし、
その言葉を裏付けるように彼女は他の作品出演でのインタビューで
「(純と愛で)1人分の人生を終え、今は2人目の人生をやっている感じ。
心が広くなって穏やかになった。人間的に成長したと思います」
と語っている(朝日新聞デジタル 日刊スポーツ記事より)。

私はこの放送期間中、『純と愛』を朝・昼をテレビで見た上、
仕事から帰った夜にNHKオンデマンドでもう一度詳しく観たので、
一日あたり約1時間ほどこの作品を観続けたぐらいのめり込んだ。
オフィシャルHPや関連本も全て読みまくった。
そして日テレオンデマンドで『家政婦のミタ』も2周り観ている。
というか、元々『家政婦のミタ』で遊川氏の凄さを知り、
『純と愛』にのめり込んだというのが正しい。

それほどまでに至高を求めた作品について、
青木るえか氏はどこまでしっかり観てあの評論を書いたのだろうか。
何をもって「勝負はついた」などといえるのだろうか。
ただ単に惰性にまかせて消費者目線で娯楽性を連続テレビ小説に求め、
一般ウケしたかどうかを視聴率で捉えたのか?

映画で例えるなら、映画『遠い夜明け』(1988日本公開)と
映画『釣りバカ日誌』(1988初回興行)を興行成績で比べようとしているのと
レベル的に彼女は大差無い。

スポーツで言うなら、他者より点を多く取るのが目的の球技(例:野球)と、
他者より点を少なく取るのが目的の球技(例:ゴルフ)を得点で比べるような稚拙さだ。

そもそも求める客層がこの二つの作品では大きく違うのだ。
連続テレビ小説も然り。何が「勝負はついた」だ。
作品はその作り手の創造性がどちらのベクトルを向いているのかによって
その受け手の反応も大きく変わってくる。
私は今の『あまちゃん』を嫌いでは無い。
実際、舞台となった岩手県久慈市は私が3歳〜7歳までを過ごした思い出の地だ。
ただ、今のところ、第1回しか観ていない。だから論評は控えるが、
結構好評だと聞いている。それはそれでいい。

一番気になるのは、そもそも青木るえか氏自身が探究心を失った
「あまちゃん」になっているのではないか、
原稿料で食えていることに慢心して落とし穴に落ちているのではないか、
ということである。

一消費者として青木氏がどういう感想を持つかそれは「御勝手に」である。
しかし、朝日新聞系メディアが彼女しかこの番組の評価に使えないという、
編集長を始めとするメディア系スタッフの貧弱さには悲しいとしか言いようが無い。
昨今、テレビははっきり言って面白くない。
私も4月に入ってからは天気予報と大河ドラマぐらいしか観ていない。
そんな中で、数少ない秀作を惰性の評論業者の酷評でこき下ろしていては、
コアなファン層からはそっぽを向かれるだろう。
益々マスコミ離れを増幅させるのである。

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